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Linn Mori - Invisible Vision

04 27, 2015 | Tag,HipHop,2010,HipHop2010,beats,breakbeats
Linn Mori - Invisible Vision


Linn Mori - Invisible Vision


『BIO』
国内外で目覚ましい活躍を見せているビートメイカーのLinn Moriは、不定期で開催されるビートセッションイベント"EN Tokyo"への参戦や、今現在もその影響力を強めつつあるレーベルDarker Than Waxがおくるアジアのビートメイカーに迫ったコンピレーション【Assembly Point 2】にも参加。2012年にはサウンドクラウドで出会ったラッパー達をフィーチャーした自身初となるアルバム【Midnight Blue】や、台湾のビートメイカーLuviiaとのコラボレーションアルバムとなる【Luvlin】をリリース。

2014年にはアンデルセンの「絵のない絵本」をモチーフに、アジア、アフリカ、ヨーロッパ。密林、海、砂漠。地球、月、宇宙。私たちが生きるこの世界を表現したのだという22 (カセットテープは23) のビートから成るフィジカル・デビュー作【Sail To The Moon】を、rockwell product shop (nujabesのマネージャーやhydeoutのA&Rとして活動し、Uyama Hirotoと新たにレーベルを立ち上げたKoizumi Takumiの主宰するレーベル) と、フランスのレーベルCascadeの2レーベルからリリースしている。

『Invisible Visionについて』
Linn Mori待望の新作は、葛飾北斎が用いた論理的な構図の取り方に感銘を受けたことから【Invisible Vision】と名付けられ、北斎によって描かれた「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」や、「諸国滝廻り」の一つ「木曾路ノ奥阿弥陀の滝」等、江戸の世俗や風習といった古典的な「和」をテーマに抜群のセンスで変幻自在に纏め上げられた16 曲の” 短編物語”(ビートアルバム)。

美的センスや絵心に自信がないので、この例えが正しく伝わるか不安ではあるものの、主張し過ぎない慎ましい色。それでも独自の文化 (色彩) として世界に誇れる「美」を有している「日本ならではの伝統色」といった印象を【Invisible Vision】から受けた。
この印象は、プレスキット (アルバムインフォメーション) を受け取る以前に音源を試聴して実際に感じたことだけど、「葛飾北斎~」というコンセプトを聞いた今でもそのように僕は感じるんだよね。それこそ、そういった美しさ (古典的な「和」) をテーマとして汲んだビートが耳に馴染み、さも流れるように入ってくるような半シームレスに紡がれて行くビートが16曲の"短編物語"を語っているかのようだ。このように短編物語"集"としての完成をみせているのもそのはずで、制作に一年程の時を費やしたのだというこの【Invisible Vision】のボツ曲は○○以上あったとか。

そうした吟味を経て完成した【Invisible Vision】は、前作と同様に日本のレーベルRockwell product shopと、ドイツのレーベルSichtexotからのリリースとなる。Rockwell product shopについては、今回の主役であるLinn Mori他、nujabesのトリビュートアルバムにも名を連ねていたNitsuaや、Substantialのディストリビューションなどもやっているレーベル。一方のSichtexotは快作【Man Of Booom】を残しているMan Of Booomや、そのMan Of BooomのクルーでもあるFigub Brazlevic、Eloquent、Knowsumといった好事家の間で人気の高いアーティストの作品をドイツから発信 (リリース)。これぞヒップホップといったゴールデン・エラの空気感を再現している作品もあれば、そのあたりを幹に×エレクトロニック/エレクトロニカ/アンビエントなんて今時のテイストも混ぜた作品もリリースする懐も持ち合わせている。

『Invisible Visionに収められた"短編物語"』
「諸国滝廻り」の一つ「木曾路ノ奥阿弥陀の滝」を題材とする①-「Amida Waterfall」に、富嶽を眺望するといった印象ももちろん受けたのだけれども、その凪いだ感じから水面に写り込む「逆さ富士」をイメージさせられた②-「Fugaku」の冒頭からしてナルホドねぇ・・・と、アルバムのテーマに納得。実は、けっこうSichtexotからのリリースという背景が気になっていて、この①-「Amida Waterfall」と、クロージング・ナンバー⑯-「Still Life」のビートが90's的で、そういったあたりもSichtexotからもリリースされるという部分に繋がっているのかなぁ?なんて思ったりもする。実際はもっと別な理由やきっかけがあったのだろうけど。

そんな個人的興味はさて置き、続くは面妖なビートメイキングが後引く③-「Bamboo Magic」、酒宴の歌舞で興を添えるといった役割を絡ませてのインタールードだと思われる④-「Geisha」に、これもやはり舞をまって酒席に興を添えるといった役割から、このようなタイトルを冠しているのだと思われるインタールード⑫-「Maiko」は、舞妓 (以前は10~16歳の少女) の可憐さを表したようなジャジーなビート (ピアノ・ヒップホップ系)。なお、ジャジーヒップホップ路線では、海外でも親しまれ、大人気な日本酒がテーマであろう⑨-「Sake」があげられ、このFunky DLライクな洒落たジャジーなビートは大好物かつ決して悪くないものの、折角のSakeなのだからもっと和テイストでも良かったかなぁなんて欲も出ちゃうかな。

④から続く⑤/⑥の2曲は、日本人にとって大変馴染みのある桜をテーマとしており、満開の桜あるいは桜の花びらが舞い散る様を見て美しい、綺麗だと声を洩らす人もいれば、その散り様をどこか寂しく感じる人もいる。そんな別れもあれば出会いもある「春」という季節を表現したのだろうか?とも思う、温かくも切なげなビートが胸を打つ⑤-「Sakura」も、ライトアップされた枝垂れ桜が風に靡く美しい様を表したかのような雅なビートが印象的な⑥-「Weeping Cherry」のどちらも景観に富んでいて実にイイ感じ。これらはどこかしらの桜の名所をイメージしているのだろうか。

⑦-「Odori」は、跳躍運動を主体とする"踊り"のように跳ねるビートや、微かに響く拍子木がいい味 (雰囲気) を出しており、どこか神聖的な印象や"品"を感じさせるものに。「富嶽三十六景」の一つ「神奈川沖浪裏」に着想を得て制作されたのだという白眉の⑩-「The Great Wave」は、前景の寄せては返す豪快な白波をサックスで表現し、後景の控えめな富嶽には慎ましやかなピアノとギターを用いて、揺蕩うドラムを通して荒波に揺れる押送船を表したそうだ。

⑪-「Ryujin」は農業では雨乞い祈願の対象として、漁師からは海神として信仰されることが多い竜神への祈り/神事をビートで執り行うかのようなビートメイキングが印象的。それと、大見得を切って登場する冒頭~和楽器を取り込みながらのビートで傾く⑬-「Kabuki」のこの傾き加減もいい塩梅 (やり過ぎずでちょうどイイ) だし、深く深く・・・竜宮城へと潜る様子を表したようなギターとローファイなノイズ、そして竜宮城へと招かれた浦島太郎の好奇心や、昔話を聞く子供心を表したかのようなドラムで紡がれて行く⑭-「Ryugu-jo」では、同時に空想的な御伽話 (昔話) といった感触も被せているようで面白い。


・Tracklist

1. Amida Waterfall
2. Fugaku
3. Bamboo Magic
4. Geisha (Interlude)
5. Sakura
6. Weeping Cherry
7. Odori
8. Oiran (Interlude)
9. Sake
10. The Great Wave
11. Ryujin
12. Maiko (Interlude)
13. Kabuki
14. Ryugu-jo
15. Shunga
16. Still Life

Linn Mori - Invisible Vision
Purchase [Rockwell product shop | Sichtexot | amazon (Casset) ]

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